ここの手仕事は民芸でも伝統工芸でもない。自分の生活に必要なものは自分で作るしたたかな山の生活が甦っただけなのだ。土から離れ、手足を使わなくなった現代の生活が慈しみを忘れいかに貧しいものか考えてみたいものだ。


わらぞうり

わら製品は日本人の暮らしに欠かせないものでした。「わら」を表す漢字の一つに「藁」があります。ワラが木と同等、あるいはそれ以上の価値がある草だと考えられていたことがうかがわれます。お米をとった後のワラを大切に編み、わらぞうり、むしろ、ミノなどを作ってきました。


機織り

足助屋敷の紺屋で染めた糸を織り上げます。1反を織るのに必要な日数は2~3週間。かつては「機が織れないとお嫁に行けない」と言われるほどに、女性には大切な仕事でありました。


桶屋

椹のほのかな清香が心地よい桶。樹齢100~150年の椹を使い、何種類もの正直カンナを使い分けて、寿し桶やおひつをつくります。祝櫃など特別な桶には、昔ながらの「竹の組たが」たけのくみたがをはめます。


傘屋

矢作川上流域は竹の産地。さまざまな種類の竹があるが、番傘の骨は真竹から作る。白和紙は屋敷で漉いた三河森下紙を使う。和紙を貼った傘は、2段階に開き、雨や雪があたる音も楽しいもの。使ったらしっかり干すことと、置くときは傘の先を上に向けることが長持ちの秘訣。使うたびに渋みが増す傘の色を見ると、雨の日が楽しみになる。


紙漉き

足助の和紙は「三河森下紙」と呼ばれる純生漉和紙。農家の冬場の仕事として、女性ではなく男性が漉いていたのが足助の特徴。丈夫な紙で2枚漉きに特徴があり、主に障子や番傘の紙に用いられた。現在では、屋敷の番傘や、足助名物の行灯たんころりんにも使われる。


炭焼き

樫を中心に、楢やあべまきも焼きます。雑木山の手入れにもつながる炭焼きは、山里の冬の仕事でした。足助屋敷では着火しやすい黒炭を焼いており、出来た炭は販売される他、屋敷内の珈琲の店で焙煎に使われます。


鍛冶屋

どこの村にも野鍛治がいて、カーンカーンと刃物を打っていたものでした。勘をたよりに手でたたいて作る昔ながらの刃物は、何度でも修理が出来て無駄がありません。鎌やナタなどの農具から、毎日台所で使う包丁まで、手作りの刃物は、握った感触も、切れ味も抜群。長く使えます。


竹かご屋

足助は竹の産地。上質の竹が豊富にとれる。苦竹(真竹)、淡竹、黒竹、雲紋竹など様々な種類を用途によって使い分けます。プラスチックが登場するまでは、カゴやザルなど数多くの竹製品が生活に使われていました。他にも、物干し竿、竹皮など、竹は日本文化の一部。竹製品はしっくり馴染みます。


木地屋

ロクロを使って、欅、栃などから盆や椀などを作る木地師。はるか昔は木地師集団をつくり、村から村へ移動して注文をとり、仕事をしたそうです。何本もある仕事道具のカンナは今でも自分でつくります。木目の美しさを生かし、えの油だけで仕上げる木地製品は、そのままでも美しいが、使い込むと味わい深い色と、手に馴染む感触が楽しめます。


紺屋

灰汁を使う昔ながらの手法で藍を建てる、本格的な藍染めを行っています。虫除けや殺菌効果に優れ、かつ、美しい藍染めは、化学染料が登場するまで、日本の主な染め技法でした。瓶の液に布を浸してから持ち上げると、空気にふれた途端、パッと青くなる。不思議な瞬間。