手づくりは最高のごちそう!
手間ひまをかけて作る楽しさ、美味しさを感じて学ぶ料理教室「食の学校」。
毎月テーマが変わり、色々なことに挑戦できます。是非ご参加ください。
令和7年2月3日(立春)。今回の食の学校は「老舗直伝「甘酒の競演」」です。今回の講師は村瀬奈織です。本来ならばここに足助の村定酒店店主の中山昌平さんがいてくれるはずでしたが、残念ですが昨夏急逝されてしまいました。思えば、関谷酒造との縁を作ってもらい実現したこの教室。中山昌平さんの意思を引き継ぎこれからも大事にしたいと思います。
俳句では甘酒といえば夏の季語になっています。これはビタミンB1、B2、B6を主とするビタミンB群や、必須アミノ酸といった栄養補助成分が豊富に含まれることから、甘酒は「飲む点滴」などとも呼ばれ、栄養ドリンクのような存在だったようです。最近では体に良い発酵食品という位置づけで、美肌効果なども期待できる万能食品です。
なぜ万能食品なのか
甘酒の主成分としては、米麹とお湯だけなのになぜ『飲む点滴』など言われるのでしょうか。なぜあの自然な甘さが出るのでしょうか?
甘さの理由
- 米麹に含まれるアミラーゼという酵素が、お米のデンプンをブドウ糖に分解する
- ブドウ糖は脳や体のエネルギー源となる重要な栄養素
- 細かく分解されたブドウ糖は人が甘く感じられるサイズになる
栄養素
- ビタミンB群、オリゴ糖、食物繊維、アミノ酸、コウジ酸などの栄養素が含まれている
- ビタミンB1はブドウ糖をエネルギーに変えるのを助ける働きがある
- オリゴ糖は腸内環境を整える効果がある
- ペプチドには血圧を下げる効果があるとも言われている
健康効果
- 消化を助け、栄養を吸収しやすくなる
- 代謝を促し、腸内環境を整える
- 夏バテ対策に効果的
つまり米麹甘酒は、米麹が生成する酵素によってお米のデンプンがブドウ糖に分解されることで、自然な甘みを生み出しています。
発酵が進むことにより、点滴の主成分であるブドウ糖、その他ビタミンB群などの栄養素がバランスよく生成される等が挙げられます。
麹の種類と配合
麹によって風味が違います。関谷酒造の麹は乾燥してあり、常温での長期保存が可能です。例えばヤマキさんの麹は要冷蔵で半生タイプです。賞味期限も1か月半くらい。どっちが良いとかはなく、使用方法によって使い分けが必要です。

関谷醸造株式会社の公式サイトです。蓬莱泉(ほうらいせん)をはじめ、厳選された素材と伝統の技術、そして和醸良酒によって生み出される高品質な日本酒を製造。商品情報、酒造りへのこだわり、イベント情報などをお届けいたします。
酒粕と米麹の2種を作る。
酒粕が好きな人、米麹が好きな人、いろいろあります。酒の産地の人は酒粕の甘酒しか知らないことが多いです。米麹は、発酵しているだけなので、子供とか妊婦さんでも大丈夫。逆に酒粕は終わってからの試飲ができないので作って持って帰ってもらいました。これは、ややアルコールが残るためです。
保温マグで作る
コツは温度を一定に保つことです。夏は65℃、冬は75℃くらいで仕込み、朝には35℃くらいになっているのが発酵が進む理想です。55℃くらいの状態が長ければそれが理想です。発酵が進みすぎると酸っぱくなる。逆にすごい高い温度だと麹が死んでしまうので、昔の人たちは苦心して、掘りごたつの下に置くと熱すぎるので、中に台を置いて火元から離して作る家も多かったらしいです。保温マグに計った米麹を入れやすいように、紙の入れ物を作ります。
一旦沸騰した湯をマグに入れて殺菌します。
75℃で入れて、時々振るを繰り返します。そして分解によって糖分に変わるのです。
温度が高すぎると菌が死滅してしまい、低すぎると分解が進まないので甘みが出ない。ふやけた麹になってしまいます。
昔はお祝い事があるたびに甘酒が振る舞われましたが時代とともに姿を消していきました。しかし、栄養バランスの良い発酵食品であること、美肌効果が期待されることから近年各社から甘酒が販売されています。桧茶屋では米麹で販売していましたが、発酵が進みにつれ風味や色合いが変わってしまうため、酒粕の甘酒を出すようになりました。発酵食品は健康・美容・ダイエットなどとともに免疫力もアップする万能食品ですが、糖分が多いので、飲みすぎには注意です。いくら体にいいとはいえ、適量がベストですね。
酒粕甘酒
酒粕甘酒にも、整腸作用、肥満抑制効果、冷え改善効果など、さまざまな健康効果が期待できます。
栄養素と効果
- ビタミンB群:代謝をサポートし、疲労回復に効果的です。
- 食物繊維:腸内環境を整え、便秘解消をサポートします。
- アミノ酸:体内のタンパク質合成を助け、免疫細胞の維持に貢献します。
- フェルラ酸:抗酸化作用があり、体内の酸化ストレスを軽減することで免疫力をサポートします。
- レジスタントプロテイン:体内の脂質や油分を排出する効果があり、コレステロール値を下げる可能性があります。
- レジスタントスターチ:ビフィズス菌の餌となり、腸内環境を整え、肥満抑制に貢献します。
- アルギニン:血流改善効果があり、冷え性の改善やクマの軽減が期待できます。
甘酒は発酵により、疲労回復や美容、ダイエット、その他さまざまな効果が得られることがわかりました。筆者は子供の頃ふるまわれた甘酒を飲んで以来甘酒が嫌いになりました。多分酒粕の甘酒だったと思いますが、胃液が込み上げるような感覚でそれ以来2度と甘酒を口にすることはなかったのですが、今回特に米麹の甘酒の味と言ったら甘すぎず優しい味で、酒粕の方も尖ったところはなく、素直に美味しいと言える味でした。甘酒を再認識させられた有意義な瞬間になりました。